第4話:資産保有会社とは
適用除外会社
事業承継税制の対象から、資産保有会社と資産運用会社が除外されています。その理由は、個人で保有している現金、不動産、有価証券及び高額な絵画などの美術品などを会社に移し、その会社で事業承継税制の納税猶予の適用をうけることで相続税の課税回避を行うことを防ぐためです。
資産保有会社とは
次のような「特定資産」の価額の総額が、全財産の70%以上を占める会社をいいます。
① 国債、地方債、上場株式、資産管理会社の持分
② 自社で実際に使用していない不動産(賃貸不動産など)
③ ゴルフ会員権
④ 書画骨董、貴金属、宝石など
⑤ 現預金、会社の代表者や同族関係者に対する貸付金
資産保有会社に該当するかどうかの判定は以下の公式で行います。
ただし、この判定に際しては以下の点に留意する必要があります。
①過去5年間の経営承継相続人及びその同族関係者に対して支払われた剰余金の配当等と過大役員給与等に相当する金額を分母・分子である特定資産及び資産価額総額に加算して判定する。(贈与又は相続前の期間は加算しない。また、認定時も加算しない。)
②貸借対照表に計上されている帳簿価額により算定する。
③減価償却資産・特別償却適用資産・圧縮記帳適用資産については、それぞれに対応する減価償却累計額・特別償却準備金・圧縮積立金等を控除した後の帳簿価額とする。
④貸倒引当金・投資損失準備金等の評価性引当金は控除しないで算定する。
資産運用会社とは
その中小企業の直近の事業年度における総収入金額に占める特定資産の運用収入の合計額の割合が75%以上である会社をいいます。
特定資産の運用収入には以下のようなものが含まれます。
①有価証券の受取配当、預貯金の受取利息
②賃貸不動産の受取地代・家賃等
③特定資産の譲渡価額
資産保有型会社・資産運用会社の適用除外となる会社
次の要件のすべてを満たす場合には、資産保有型会社・資産運用会社には該当しないとみなされ、事業承継税制の適用を受けることができます。
①3年以上継続して事業を行っていること(不動産の貸付も含む)
②後継者・生計を一にする親族以外の常時使用従業員が5人以上であること
③常時使用従業員が勤務している事務所、店舗、工場等を所有または賃借していること