第5話 先代経営者の要件
贈与税
(1) 会社の代表者であったこと
贈与時までに代表権を返上する必要があります。また、過去に代表者であった者でも可能で、代表権を返上し有給の役員で残ることは可能です。
(2) 先代経営者と同族関係者で総株主等議決権数の50%超の株式を保有し、かつ、代表者であったいずれかの時点及び贈与直前の時点でその同族関係者(特例経営承継受贈者(贈与を受ける後継者)を除く)の中で筆頭株主であったこと。(代表権返上後に贈与した場合は贈与直前でこの条件を満たせばよい。)
筆頭株主が他にいる場合でも、先代経営者グループの中で後継者を除いて筆頭株主であればよいです。
相続税
(1) 会社の代表者であったこと
直前に代表者である必要はなく、過去に代表者であった場合も可能です。
(2) 被相続人と同族関係者で総株主等議決権数の50%超の株式を保有し、かつ、特例経営承継相続人(株式を相続する後継者)を除く同族関係者の中で、代表者であった当時のある時点及び相続開始直前に筆頭株主であったこと。(相続開始直前に代表者であった場合は、相続開始直前のみでよいです。)
筆頭株主が他にいる場合でも、先代経営者グループの中で後継者を除いて筆頭株主であればよいです。
「代表者であった時点で同族関係者の中で筆頭株主」の留意点
特例事業承継税制を受けるためには、贈与直前又は相続開始直前において、同族関係者で総株主等議決権数の50%超を保有し、筆頭株主でなければなりません。
(1) 母親が筆頭株主だが代表者になったことがないケース
納税猶予の適用を受けることができません。また、納税猶予を受けるためだけに代表権をもつのは会社経営上も税務上行うべきでないと思われます。
(2) 関係会社が筆頭株主であるケース
納税猶予の適用を受けることができないため、要件を満たすためには、先代経営者が関係会社から売買あるいは時価発行増資等で持株数を増やし筆頭株主になる必要があります。